この間、会社帰りにいつも立ち寄るミルクバーで、知らないオージーのおじさんに
“How are you?”
と声をかけられた。
そのとき、私は仕事で疲れていて、脳内ゾンビ状態。
落ち込みが顔に丸出しだったんだと思う。
オーストラリアでは、知らない人同士でも気軽に話しかけるのは“あるある”な文化。
だから私もとりあえず笑顔を作って、
“Fine, you?”
と返した。
すると、駐車場で車に乗り込もうとしたとき、
また同じおじさんが “How are you? Good?” と声をかけてきた。
私は無理やり笑って “Yeah, have a nice evening.” と返した。
その瞬間、ふと――
今までの人生で、私の“顔”に声をかけてくれた人たちのことを思い出した。
まだオーストラリアに来たばかりの20代の頃。
その頃の私は、なぜか「不機嫌な顔」をキープするのにハマっていた。
ある日、音楽系の某ショップでそんな顔のまま商品を見ていたら、
突然、男性店員に
“Smile!!”
と言われてびっくり。
反射的にニコッと笑ったけど、
後になって「余計なお世話じゃない?」とも思った。
でも確かに――不機嫌な顔をしている人の近くって、
ちょっと居心地が悪いかもしれない。
そしてもうひとつ、忘れられないのがアメリカでの出来事。
長期滞在中、いろんなことが重なって感極まり、
ストリートを一人で歩きながら涙が止まらなくなった。
人生であんなに号泣しながら歩いたのは、あの時だけ。
そんなとき、通りすがりの黒人の女性――
ファンキーで、めちゃくちゃ素敵なお姉さんが
満面の笑顔で言った。
”Keep your head up, beautiful!”
私は泣きながら、
“Thank you… Thank you…” と声にならない声で答えた。
そしてまた、無理やり笑顔を作った。
思えば私はいつも、
「無理やり笑顔を作る」ことで、自分を保ってきたのかもしれない。
でもその“無理やり”の中にも、
誰かがくれた言葉の温かさが残っていて、
それが今の私を支えている気がする。
だから、今日もどうせなら笑顔になろうと考えたりしています。

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